
スパイスの香り、隣に座る女の子の瞳の色、聞き取れない言葉のカタマリの雲。
癖になるのは、異国の味わいだけではなく、普段立っている場所からぐんぐん遠のく感覚。
オアフ島では、多国籍の料理を食べることができます。
チャイナタウンでは、飲茶はもちろん、ベトナム、キューバ、レバノン。
他にも、タイ、モロッコ、台湾薬膳鍋、メキシコ、エチオピア、インド、
ネパール、カンボジア、ギリシャ、フィリピン。
元々、日系を含む多国籍の人々が住む島。
日本料理やコリアン、チャイニーズはたくさんあるけれど、
意外に私たちが「懐かしい味!」と心躍るのは、
ベトナムのフォーや台湾薬膳鍋だったりします。
アジア料理は出汁などに添加物をよく使いますが、
こちらでは「MSG(添加物)を抜いてください」と言えば、
抜いて作ってくれるお店もあります。
欧米の人たちは、この人工的な旨味の成分が苦手な人が多いからだそうです。
ヴィーガンメニューも必ずあるし、要望を言えば多様に対応してくれるところも嬉しい。
そして、口にしたことがない未知のスパイスは、異国の窓とつなげてくれる。
南国に暮らすと、スパイスの香りが磁気のように食欲を束ねて連れてきます。
ハワイの友達といつの間にか多国籍料理を食べに行くことが、イベントになっているのです。
昨夜は、初めてビルマ料理を食べに行きました。
ティーリーフのサラダが美味しかった。
発酵させた茶葉、野菜、ハラペーニョ、ガーリック、
数種類の豆やエキゾッチクな香りのスパイスやシードを目の前で混ぜ合わせ、
最後にライムをぎゅっと絞ってサーブしてくれます。
他にオクラのカレーやパッタイのようなヌードルなどもみんなで頂き、
思っていたよりも優しい味で、タイやベトナム、インドネシアのエッセンスも混ざり合ってる。
ほとんどの方が、ワインと一緒に楽しんでいたのも印象的だった。
異国から渡ってきた人たちの横顔は、頬が光っているように見え、
深い色の瞳はひとつのことだけにいつも注がれているようでした。
私も異国から渡ってきたうちのひとり。
わけもなくときめいて、わくわくしたとき特有の浮遊感のまま、
夏の宵とスパイスを纏めて、ハイウェイを滑って帰りました。
次はどの国?
