
鳥のような、花のような人が庭の前を通り過ぎる。
我が家には、本当に猫の額というのがぴったりの小さな庭とバックヤードがあります。
引っ越してきた時、ハワイ特有の溶岩地質の赤土に草一本生えていませんでした。
それでも、大きな木の並木沿いにある家なので、木漏れ日や
木々と風の音が庭にこぼれ落ちてきます。
子供の頃、庭にはいくつも世界の入り口があると思っていた私は、
再び小さな宇宙を手に入れたようで嬉しかった。
まず、植物が育つ土に入れ替え、耕し、
おまじないのようにいくつかクリスタルを埋め、
木や植物や花たちを慎重に選び植えました。
ハーブ数種類、ノニ、トゥルシー、ニーム、モリンガ、リリコイ、
バナナ、デーツ、パパイヤ、ハイビスカス、無花果、柘榴、ブーゲンビリア
ブルージャスミン、プルメリア・・・。
整えすぎない自然の生態系が育まれる、
小さな森の中のぽかっと光が照らすような場所。
3年が経ち、植物の香りが濃密な小さな宇宙ができあがりました。
その小さな庭で、まるいストーブで薪を焚いたり、庭のふちの岩の上に座って光を追い、
ウィンドーベルの音の中瞑想をして、摘んだ草花や薬草のお茶を飲んだりします。
以前カフェや雑貨の仕事をしていた時、ステーショナリーをオーダーしたり、
モデルの仕事の時、よくプローモーション用のポジを入れるBOOKをオーダーした、
外苑のON SUNDAYS・ワタリウム美術館。
そこで昔に購入した、ジョナサン・ポロフスキーの夢の記録「夢をみた」を眺めつつ、
昨日は空のグラデーションと草の間で過ごしました。
私の夢の中にも、幾度となく現れる小さな庭。
不思議なのですが、ここに立つと感情に支配されることなく、
心の中にしんとしたもうひとつの庭が現れる気がします。
同じ場所に立っていても、実はその都度別の場所なのかもしれない。
そうだとしたら、毎回新しい場所に立っているのです。
